当社では現在、セルフホスト型からエージェントベースまで幅広くAIアプリケーションを開発しており、現在は OpenAI Agents SDK を試しています。Agents SDKは“Agents”や“Handoffs”、“Guardrails”といったプリミティブを備え、複数のAIエージェントを協調動作させるアプリケーションの開発をシンプルにしてくれるオープンソースキットです。

OpenAIのResponses API
同時にリリースされた Responses API では、Web検索やファイル検索、コンピュータ操作(Operatorモデル)などのツールがAPIに統合され、1回の呼び出しで複雑な対話や外部ツール連携を実現できます。
GCP Vertex AI Agent Development Kit(ADK)登場
しかし、今年4月に Google Cloud Platform(GCP)が Vertex AI Agent Development Kit(ADK) をプレビューリリースしたことで、当社の開発方針にも新たな選択肢が加わりました。ADKはVertex AI SDK for Pythonに含まれる AdkApp
クラスを中心に、エージェントの設計・実装・運用を一貫してサポートする開発キットです。
主な機能
- テンプレートベースの開発:ウェブクローラーやFAQ対応など用途別サンプルからスタート可能。
- セッション管理:クラウド上でマネージドセッションを簡単に扱う
create_session
・stream_query
メソッド。 - 差分/バージョン管理:各構成要素の変更履歴を自動トラックし、比較ダッシュボードで可視化。
デプロイ先の比較
ADKは以下の2つの実行環境に対応しています。
- Vertex AI Agent Engine:完全マネージドなオートスケーリング環境で本番運用にも対応。
- Cloud Run:サーバーレスコンテナとしてのホスティング。小規模検証からスムーズに拡張可能。
PromptOpsの自動化
さらに、GCPの Vertex AI Prompt Management(プレビュー) では、プロンプトテンプレートのバージョン管理や共有ライブラリの提供を行い、組織的なPromptOpsを支援します(Google Cloud Blog)。また、Vertex AI Prompt Optimizer(プレビュー) を使うと、システム指示を自動最適化し、モデル応答の品質を大規模に改善可能です。
GCPエコシステムの活用メリット
GCPの各種サービスと組み合わせることで、運用フェーズで求められるスケーラビリティ・セキュリティ・可観測性をプラグ&プレイで実現できます:
- IAM(Identity & Access Management):一元的な認証・権限管理
- Pub/Sub:非同期メッセージングとストリーム処理
- Dataflow:バッチ/ストリーミングパイプライン構築
- BigQuery:会話履歴のバッチ集計とダッシュボード化
- Secret Manager:APIキーや機密情報管理
今後の展望
基盤モデル(LLM)の性能差は徐々に縮小しつつあり、これからはアプリケーションレイヤーでの差別化が勝負の鍵です。OpenAIの先進モデルとGCPの豊富なインフラ・運用機能を組み合わせ、HALDATAならではの実践的なAIサービスを追求していきます。
現在進行中のプロジェクト:
- GCP上でのAgent開発フロー最適化
- OpenAI SDK vs GCP ADK 比較ベンチマーク
- PromptOps 自動化パイプライン構築
これらの成果は6~7月を目途に技術ブログやウェビナーで公開予定です。ご期待ください。