――SaaSは「単体」から「群」へ進化する
1. はじめに
2025年4月以降、MCP(Model Context Protocol) と A2A(Agent 2 Agent) が次世代の“AIエージェント・スタック”を形作るコア・プロトコルとして急速に注目を集めています。両者の登場により、私たちは 「サービスを個別のアプリではなく、エージェント同士が協調する“群”として捉える時代」 に突入しつつあります。
2. MCPとは ― ツール接続のソケットレンチ
- 開発元:Anthropic
- 役割:LLMエージェントが API、DB、ウェブクロール結果など多様なデータソース を呼び出す“関数”を、ベンダー横断で標準化
- イメージ:Googleは「MCPはソケットレンチのようなもの。あらゆるツールを“規格化された口”で締め付け、一元管理する」と説明しています。
- 効果:
1. ツール呼び出しの実装コストを削減
2. モデルやフレームワークを跨いだ“関数呼び出し”の再利用
3. ツール更新に強い疎結合アーキテクチャ
3. A2Aとは ― エージェント同士の共通言語
- 開発元:Google
- 役割:異なるエージェント同士が 計画立案 → 対話 → 合意 → 役割分担 を “同一フォーマット” で行うアプリケーション層プロトコル
- イメージ:同じくGoogleのたとえでは 「A2Aはメカニック同士が問題を診断する会話」。MCPで繋いだツールをどう使うかを、エージェント同士で柔軟に協調するための“共通語”です。
- Google ADKとの連携:A2Aは Google のオープンソース Agent Development Kit(ADK) とネイティブに統合。Gemini モデルや Vertex AI サービスとの橋渡しを担います。
4. MCP × A2A がもたらすエコシステム
自動車修理工場のメタファを借りると、
- MCP:ジャッキやレンチ等の“物理ツール”をエージェントが使うための 規格化された差し込み口。
- A2A:整備士(エージェント)が 顧客・部品業者・他の整備士 と行う専門用語入りの会話プロトコル。
両者が接続することで、
1. ツール呼び出し(MCP)と 複数エージェント協調(A2A)の責務が明確に分離
2. ベンダーやクラウドを跨いだ 相互運用性 が担保
3. 個々のエージェントが専門特化しやすい “レゴブロック型” エコシステムが形成
5. SaaSは「群」へ ― エージェント評価メトリクスの時代
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラの動画で「SaaS is Dead」という刺激的なフレーズが語るのは、単一アプリが囲い込む集中モデルから、分散・協調モデル への転換です。今後は次のような エージェント評価メトリクス がサービス選定基準になります。
指標 | 概要 |
---|---|
タスク完了率 | 期待結果を最後まで達成できる割合 |
ツール呼び出し精度 | 適切なAPI/関数を選択・実行できるか |
意図解決率 | 曖昧な指示を正しく解釈し具体化する力 |
タスク遵守度 | ガードレール・ポリシーを逸脱しない度合い |
評価指標が可視化されるほど、性能が高い“専門特化エージェント”が組み合わさる 形でサービスが進化し、寡占型SaaSの牙城は崩れていくでしょう。
7. まとめ
- MCP=ツール接続の標準化、A2A=エージェント間会話の標準化。
- 両者が揃ったことで、SaaSは エージェントの“群” として組み合わさる “レゴブロック時代” へ。
重要なのは 「何を繋ぎ、何を生み出すか」。プロトコルはあくまで手段であり、ユーザ価値を最大化する“協調戦略”こそが勝負どころ。
アマゾンや楽天のようなマーケットプレイスに行って、検索して絞り込みしてカートにいれて、、という行動にも変化が。 ユーザー独自のパーソナルエージェントが直接店舗ごとのエージェントと会話しおすすめを聞き値引き交渉をするとなれば、、 現在のウェブを牛耳るプラットフォームエコシステムのあり方にも大きく影響してくるだと思われます。
すなわちHALDATAのTrendViewerとしての勝ち筋は 分散協調型「顧客の声を聞く・分析する」単一エージェントへ進化し、ユーザーを多く持つエージェントからの呼び出しに真摯に対応することなのです。なにも間違ってません。ええ。